【謎】台湾 オリンピックでの呼称違う
オリンピックの開会式を見ていたときのこと。
画面に表示されたのは、五輪が描かれている見たことのない「国旗」と「チャイニーズタイペイ」と書かれた字幕。
後日知ったことだが、「台湾」のことだったらしい。
なぜ「台湾」ではなく「チャイニーズタイペイ」で出場しているのか。
気になったので、調べてみました。
旗
まずは、台湾が「チャイニーズタイペイ」として参加し、オリンピックで使用した旗を紹介します。
〈正式名称〉
チャイニーズタイペイオリンピック委員会旗
〈別名〉 梅花旗
〈使用目的〉中華民国(台湾)の国旗の代わり
〈デザイン〉
白地の旗で、国旗に使われている青白赤で中華民国の国花である梅をかたどり、その中に中華民国の国章(青天白日の紋章)、オリンピックシンボルである五輪を中央に配置
{豆知識}
オリンピック等で旗が掲揚される時には、“中華民国国旗歌”が演奏される。
名称を変えて出場する理由
結論を先に述べよう。
名称を変えざるえなかったからだ。
その理由は、歴史が深く関係している。
かつて台湾は、日清戦争に勝利し、下関条約を結んだ1895年〜1945年の、日本が第二次世界大戦に敗戦するまでの50年間、日本の植民地であった。
第二次世界大戦が終結すると、台湾は「中華民国」に差し押さえられた。
これは、1943年にカイロ宣言で「日本が略奪した台湾を、中華民国に返還するべき」と定めたものに、準じた形となる。
その後、日本は統治権を放棄し、その権利は喪失した。
しかし、この権利の帰属先が問題なのだ。
1951年に日本が連合国側諸国と締結したサンフランシスコ平和条約では、「台湾における権利の放棄」しか取り決められていない。
そのうえ、1952年に中華民国と締結した日課平和条約においても、「台湾における日本の領土権の放棄」しか明記されていない。
その為、現在に至るまで国際法的には台湾の主権移転対象(帰属先)が不明確な状態である。
{豆知識}
日本政府は、台湾の帰属について「主権の帰属先について、発言する立場に無い」としている。
実質的に、中華民国に統治されていった台湾。
しかし、中華民国政府は中国大陸において、厳しい立場に追い込まれていた。
この頃の中国大陸は、❲国共内戦❳の真っ只中。
※「国共内戦」
蒋介石率いる「中華民国国民政府軍(中国国民党)」と、毛沢東率いる「紅軍(中国共産党)」とで間で起こった内戦
日中戦争以降続いていたアメリカからの支援は打ち切られ、ソ連が支援する「中国共産党」に対して劣勢となった。
それ故に、中国本土での拠点をすべて失い、中国大陸から駆逐されてしまった為、台湾を臨時首都とした。
そして、中国共産党が中華民国に代わる中華人民共和国を建国したことにより、「国共内戦」は終戦となった。
その結果、中国は中国本土の中華人民共和国と、台湾の中華民国による分断国家となった。
※分断国家
本来であれば1つの国家であるべきが、人為的に分断させられた状態にある国家のこと。
〈例〉
・韓国 & 北朝鮮
・台湾 & 中国
冷戦下の1971年に、アメリカ合衆国をはじめとする西側諸国と、ソビエト連邦をはじめとする東側諸国の間で政治的駆け引きが行われた結果、国際連合における「中国代表権」が、中華人民共和国に移され、中華民国は、国連から脱退した。
{豆知識}
日本は、1952年に締結したサンフランシスコ平和条約や、日華平和条約により、台湾との国交が成立していたが、
1972年に、中華人民共和国との国交が樹立した為、台湾との国交は断絶された。
以上の経緯から、台湾は「国」として認められていない。
※ 台湾を「国」として認めている国も、15ヵ国ある。
それ故、オリンピックでは「国」として参加することが出来ない。
「地域」での参加となるのだ。
あくまでも、皆さんご存知の台湾の旗は、『国旗』である。
香港、マカオのような『区旗』ではないのだ。
その為、オリンピックでは『国旗』を掲揚することは出来ない。
「台湾」という名称も同じだ。
これは、『国名』である。
よって、オリンピックの参加名義として、「チャイニーズタイペイ」という呼称で、「チャイニーズタイペイオリンピック委員会旗」を使用しているのだ。
まとめ
台湾が国号である「中華民国」や「台湾」という名称を使用して五輪などの国際大会に出場出来ないのは、他でもない、『一つの中国』を前面に出す中国の反対があるからだ。
台湾人は、「チャイニーズタイペイ」という自国の呼称を、屈辱的だと思う場合が少なくないという。
台湾人が国際大会において、「台湾」と呼ぶことが出来るのは、いつになるのだろうか。